高辻正基

日本農業の活性化が叫ばれて久しいが、日本農業の低迷の原因は、まず大規模化が困難なことだ。声高に叫ばれてきたにもかかわらず、2010年の北海道を除く農家の平均耕地面積は2.2haに留まっている。我が国の工業のポテンシャルと合わせて考えると、植物工場やバイオ農業、IT農業のような高度化農業に向うのが有力であろう。 企業の農業参入への道が急速に開かれつつある。2009年には農地の貸借を原則自由化する改正農地法が成立した。それまでの農地リース方式に比べると制約が少なく、改正後は土地の所有者と合意できれば、どの農地でも借りられるようになった。こうした規制緩和のおかげで、これまで中小企業がほとんどだった農業参入が、最近は大企業の参入が目立ってきた。また、近年の農業のハイテク化、IT化はかなりの速度で進展している。一般の露地農業においてもIT化を筆頭とするイノベーションが現在進行中であり、IT系大企業や異分野の企業の参入も進んできている。 同時に農業の大規模化、企業化、そして栽培・加工・販売を一貫して行おうとする6次産業化(1次産業×2次×3次)も期待されている。